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進化の実~知らないうちに勝ち組人生~ 作者:美紅
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41/75
魔王軍議会
魔王領と称される、暗黒の森や荒廃した大地が広がる【ヘルサ】。
そのヘルサの中心に存在する、巨大都市『グランベージュ』。
そこでは、多くの魔族が住んでおり、魔王城が存在する中心都市でもあった。
巨大な城壁で囲まれ、見る者を威圧する魔王城。
その城の姿は、まさしく人間が恐怖する魔王の住む城に、ふさわしかった。
そんな魔王城の会議室で、第58回魔王軍議が開かれようとしていた。

◆◇◆

私――――レイヤ・ファルザーは、黒龍神様の復活を手助けしたのち、魔王城へと向かっていた。
理由は、魔王軍議会が開かれるからだ。ただし、議会の内容は分かっていない。
黒龍神様の力が戻るよう手助けしていたこともあり、若干遅れ気味の私は、少し足早に会議室に向かった。
レッドカーペットの敷かれた長い大理石の床を歩いていると、目的の会議室まで辿り着く。
会議室の扉は、重厚な木製で作られており、何度訪れても否応なしに気を引き締めさせられる。
一旦息を整えると、扉をノックし、名前を告げた。

「魔族軍第三部隊隊長レイヤ・ファルザー、ただ今到着しました」

私の名前を告げた後、自動的に扉が開かれる。
中には、やはりというか、私以外の幹部の連中が全員揃っていた。
その全員が、一つの大きなテーブルを囲う形で座っている。
テーブルの奥には、威圧的な紅の扉がある。
扉の前で立ち止まっていてもあれなので、すぐに空いている席に腰を下ろす。
どうでもいいが、この椅子に座るたびに、自室に一つ欲しくなるほどの座り心地だと思う。
そんな風に一息ついていると、一人の魔族が突っかかってきた。

「おい、レイヤっ! 大事な議会の時間に遅れるとはどういうことだっ!」
「うるさいわねぇ……私にだって、用事があるの」
「議会より大事な用事などあるか! 時間を守れ!」
「ホント、めんどくさい男ね。ちゃんと来たんだから、少し遅れたっていいじゃない」
「なんだとっ!?」

いちいち私に突っかかって来る魔族は、魔族軍第五部隊隊長、ウルス・バミュー。
魔族軍の黒色の軍服をカッチリと着こなし、青色のマントを羽織っている。
軍服の上からでも分かるほど、筋肉が盛り上がっており、正直私は暑苦しい上に鬱陶しいと常々感じていた。
浅黒い肌に、こめかみから生えた巨大な角が、ウルスを魔族だと証明している。
ウルスの種族は、魔族の中でも多く存在する、鬼族おにぞく。
だが、ただの鬼族ではなく、すべての鬼族を束ねていた、王鬼族おうきぞくの長だ。
ウルスの言葉をすべて無視していると、隣に座っている、女性魔族が口を開いた。

「ダメよ? レイヤ。ちゃんと時間通りに来なきゃ。それに、ウルスも熱くなりすぎよ?」
「ぬ、ぬぅ……リアレッタがそう言うのであれば……」
「分かったわよ……」

私とウルスを窘めたのは、魔族軍第四部隊隊長、リアレッタ・バルヘイム。
緩いウェーブのかかったクリーム色の髪の毛と、茶色い瞳の優しげな目。
ちょっとしたタレ目なのと、右目下にある泣きぼくろが、なんだか妙に色っぽく、自分で言うのもなんだが、私に負けず劣らずの美貌を誇る女性だ。
それもそのはずで、彼女の種族はサキュバスであり、その中でももっとも美しいとされている女王なのだ。
そんな彼女と私は、幹部の中でも二人しかいない女性魔族ということで、お互いに仲が良く、私は彼女のことをリアと呼んでいた。
ウルスのように肌の色が浅黒かったりしないため、見た目はほぼ人間と変わらない。
だが、リアの背中から生えている蝙蝠のような羽が、彼女を魔族だと認識させていた。

「次からは気をつけなさいよ?」

困ったように笑うリアを見て、私もウルスもなんだか居心地が悪かった。
おかしいわね。リアと私は同い年なはずなんだけど……。
リアと接していると、どうしてもリアがお姉さんのように見えてしまうのだ。
しかし、リアはサキュバスであるにも関わらず、昔私がちょっと過激な恋愛小説を貸してあげると、次の日顔を真っ赤にしながら返しに来るなど、ものすごい初心である。
そのくせ、胸がすごく大きい。今でも、女性用の黒色の軍服の胸元が弾け飛びそうだ。
私も、自分の胸が小さいとは思わないけど、リアには負ける。
くっ……! あの胸があれば、私も今ごろ彼氏の一人と熱い夜を過ごせるのに……!

「ちょっと、レイヤ? どうして私の胸を、親の仇を見るような目で見てるのよ?」
「そんなの、自分の胸に手を当てて聞いてみなさいよ」
「ええっ?」

リアは、まじめに自分胸に手を当てて、首を傾げている。
その際、手にまったく胸が収まり切っていなかった。……何? この敗北感。
そんなバカなことを考えていると、少し離れた位置に座っている、気怠そうな雰囲気の男が口を開いた。

「なぁ、まだ始まらねぇの? 何もねぇんだったら、帰って寝てぇんだけど」

そういうと、男は大きな欠伸を一つした。
――――魔族軍第二部隊隊長、ゾルア・ワルトーレ。
それが、男の名前でもあり、黒龍神様や白龍神様とは違う、本当の意味で、魔族軍の最強の一角だ。
ウルスと同じ軍服を着ているが、マントは着けておらず、全体的に着崩している。
長めの銀髪を後ろで結んでおり、赤色の瞳には覇気がない。
見た目はウルスやリアと違い、見た目からでは人間との違いを見つけ出すことはほぼできない。
ただし、よく見てみれば、ゾルアの口から覗く犬歯が、人間より長いことが分かる。
ゾルアの種族は、吸血鬼。しかも、自身の『祖』である真祖を超え、吸血鬼としての弱点をすべて克服した、完成された吸血鬼なのだ。
そんな存在だからこそ、私が議会の時間に遅れたことを注意したウルスも、ゾルアには注意をできない。体がデカいだけの小心者め。
ウルスに冷たい視線を送っていると、それに気づいたウルスは気まずそうに視線を逸らした。
まあ、リアでさえ、注意するのを躊躇うほど、ゾルアは強い。
それこそ、『黒紅こっこうの王』と呼ばれるくらいなのだ。
――――まあ、あと二人……似たような化物がいるんだけど。

「――文句を言うな、ゾルア」
「あ?」

静かに……だが、聞く者すべてが思わず萎縮してしまうほど、威圧感のある声。
その声が、たしかにゾルアに向けて、発せられた。

「黙って待て」

口数が少ないながらも口を開いたのは、この場でゾルアを窘めることができる、数少ない存在。
魔族軍第一部隊隊長、ゼロス・アルバーナ。
魔族軍の中でも最強と呼ばれる第一部隊を率いており、世間では『消滅者デリーター』と呼ばれる、絶対強者だ。
荒々しい青色の髪に、ドラゴンのような金色の鋭い目。無表情だが、精悍な顔立ち。
しっかりと着こなした黒色の軍服。ただし、ウルスのように、筋肉で服が盛り上がることもなく、スマートな印象を受ける。
そんなゼロスに、さっきとは違い、すさまじい覇気の籠った目で睨むゾルア。

「うるせぇな……俺に指図すんじゃねぇよ」
「お前一人の我儘で、今回我々を招集された、ルーティア様の手を煩わすのか?」
「関係ねぇな。俺は、面倒なことは嫌いなんだよ」

心底面倒くさそうに告げるゾルアに、ゼロスは鋭い眼光を向ける。

「そうか――――なら、ここで消えるか? コウモリ」

ゼロスは、体から禍々しい魔力を放出させながら、静かに言い放つ。
その様子を見て、ウルスが小さな声で私に告げた。

「ま、不味くないか? 流石にゼロスが暴れ出したら、吾輩では止められんぞ」
「アンタ、ゾルアが暴れ出しても止められないでしょ」
「そ、そんなことないぞっ!?」

まったくもって、説得力がなかった。
そんなことよりも、本当にゼロスが暴れ出すようなことがあれば、この魔王城そのものが……いや、グランベージュそのものが消し飛んでしまうだろう。

「ぜ、ゼロス! 落ち着きなさい!」

リアレッタが必死に宥めようとするが、ゼロスは聞く耳を持たない。
そんな時、ゼロスと対峙しているゾルアの体からも、漆黒の闇が滲み出てきていた。
吸血鬼にとって、禁句である『コウモリ』という侮蔑的言葉を言われたのだ。キレない方がおかしい。
ゾルアは、闇を体に纏いながら、ゼロスに言葉を返した。

「――――潰すぞ、トカゲ」

何でまた相手を怒らせるような発言をするのかしら。
思わずそう思ってしまった。
私も、相手をバカにしたり、いたぶったりするのは好きなので、あまり人のことは言えないんだけど。
ちなみに、ゼロスの種族は、分かっていない。
ゾルアの言ったように、目はドラゴンのようなのだが、決して龍族ではない。
なぜなら、ゼロスの両親は、普通に鬼族だからである。
そして、そんな両親から生まれたゼロスは、鬼族である証の角を持たず、王鬼族であるウルスをも凌駕する、圧倒的力を持って生まれた、いわゆる突然変異体なのだ。
『黒紅の王』と『消滅者』……この二人がぶつかれば、近くにいる私たちは完全に消えるわね。
のんきにそんなことを思っていると、リアが私に叫ぶように言う。

「ちょっとレイヤ! アナタも手伝ってよ!」
「無理よ。だって、二人とも次元が違うくらい強いんだもの」
「だから手伝ってって言ってるんじゃないっ!」

ちなみにだが、リアに言われるまでもなく、私は自分の固有魔法である『空気魔法』を使い、二人を止めるようにしていた。
でも、ゾルアは私の魔法を闇で塗りつぶしちゃうし、ゼロスは私の魔法そのものを消し飛ばしちゃうんだもの。もう抵抗すること自体が無駄に思えてならないわよね。
だから、私は諦めて、テーブルの上に置いてある茶菓子を食べ始めた。

「ああもうっ! ウルス! アナタも少しは手伝って!」
「えっ!? わ、吾輩は、その……そ、そう! お腹! ちょっとお腹の調子が悪いので、手伝うのは無理だっ! いやぁ、残念!」
「ちょっとっ! ウソでしょ!?」

ウルスって、見た目だけはホント威圧的なのに、中身が小さすぎて話にならないわよね。
それはともかく、まさにゾルアとゼロスとの間で、一触即発の雰囲気が漂っている時だった。
ゾルアとゼロス……この二人に並ぶ、最後の最強の一角がついに動いた。

「ゾルアちゃん、ゼロスちゃん、おイタはダメよぉ?」

そんな、オネェ口調の男が、ゾルアとゼロスの頭をひっぱたいた。
ズドォォォォォオオオオオオン!
ただ、頭を叩いただけで、ゾルアとゼロスは会議室の机に叩き付けられた。ていうか、頭叩いた時の音じゃないわよね?
そんな衝撃的な止め方だったにもかかわらず、ゾルアとゼロスは、無傷ながらもばつが悪そうな表情を浮かべていた。

「……すまん、熱くなりすぎた」
「……ッチ、悪かったよ」

――――魔族軍懲罰部隊隊長、ジェイド・レーヴェン。
種族はインキュバスであり、彼も例に違わず相当なイケメンなのだが……うん、私たち女性にはまったく興味がなく、いつも男を追っかけている。私以上に、男に対しての執着が酷いかもしれないわね。
でも、本当にもったいないと思う。
綺麗な金髪に、紫の瞳。優男といった表現がピッタリの色男で、実際男好きじゃなかったら、今ごろ女性にモテモテだっただろう。
まあ、そうじゃなくても、私やリアと、よくガールズ? トークをする仲で、今では普通の女性と同じように接している。
ゾルアが後頭部をさすり、ゼロスがなんとも言えない表情を浮かべていると、ジェイドは二人に流し目を送った。

「いい子ねぇ。後でキスのご褒美あげちゃうっ」
「「いらんっ!」」

おお、ジェイドすごいわね。
犬猿の仲と言っていい、ゾルアとゼロスが、見事にハモって拒絶したわよ。
まあいろいろと問題が起こりそうになる魔族軍だが、なんだかんだでうまく
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「そうか――――なら、ここで消えるか? コウモリ」

ゼロスは、体から禍々しい魔力を放出させながら、静かに言い放つ。
その様子を見て、ウルスが小さな声で私に告げた。

「ま、不味くないか? 流石にゼロスが暴れ出したら、吾輩では止められんぞ」
「アンタ、ゾルアが暴れ出しても止められないでしょ」
「そ、そんなことないぞっ!?」

まったくもって、説得力がなかった。
そんなことよりも、本当にゼロスが暴れ出すようなことがあれば、この魔王城そのものが……いや、グランベージュそのものが消し飛んでしまうだろう。

「ぜ、ゼロス! 落ち着きなさい!」

リアレッタが必死に宥めようとするが、ゼロスは聞く耳を持たない。
そんな時、ゼロスと対峙しているゾルアの体からも、漆黒の闇が滲み出てきていた。
吸血鬼にとって、禁句である『コウモリ』という侮蔑的言葉を言われたのだ。キレない方がおかしい。
ゾルアは、闇を体に纏いながら、ゼロスに言葉を返した。

「――――潰すぞ、トカゲ」

何でまた相手を怒らせるような発言をするのかしら。
思わずそう思ってしまった。
私も、相手をバカにしたり、いたぶったりするのは好きなので、あまり人のことは言えないんだけど。
ちなみに、ゼロスの種族は、分かっていない。
ゾルアの言ったように、目はドラゴンのようなのだが、決して龍族ではない。
なぜなら、ゼロスの両親は、普通に鬼族だからである。
そして、そんな両親から生まれたゼロスは、鬼族である証の角を持たず、王鬼族であるウルスをも凌駕する、圧倒的力を持って生まれた、いわゆる突然変異体なのだ。
『黒紅の王』と『消滅者』……この二人がぶつかれば、近くにいる私たちは完全に消えるわね。
のんきにそんなことを思っていると、リアが私に叫ぶように言う。

「ちょっとレイヤ! アナタも手伝ってよ!」
「無理よ。だって、二人とも次元が違うくらい強いんだもの」
「だから手伝ってって言ってるんじゃないっ!」

ちなみにだが、リアに言われるまでもなく、私は自分の固有魔法である『空気魔法』を使い、二人を止めるようにしていた。
でも、ゾルアは私の魔法を闇で塗りつぶしちゃうし、ゼロスは私の魔法そのものを消し飛ばしちゃうんだもの。もう抵抗すること自体が無駄に思えてならないわよね。
だから、私は諦めて、テーブルの上に置いてある茶菓子を食べ始めた。

「ああもうっ! ウルス! アナタも少しは手伝って!」
「えっ!? わ、吾輩は、その……そ、そう! お腹! ちょっとお腹の調子が悪いので、手伝うのは無理だっ! いやぁ、残念!」
「ちょっとっ! ウソでしょ!?」

ウルスって、見た目だけはホント威圧的なのに、中身が小さすぎて話にならないわよね。
それはともかく、まさにゾルアとゼロスとの間で、一触即発の雰囲気が漂っている時だった。
ゾルアとゼロス……この二人に並ぶ、最後の最強の一角がついに動いた。

「ゾルアちゃん、ゼロスちゃん、おイタはダメよぉ?」

そんな、オネェ口調の男が、ゾルアとゼロスの頭をひっぱたいた。
ズドォォォォォオオオオオオン!
ただ、頭を叩いただけで、ゾルアとゼロスは会議室の机に叩き付けられた。ていうか、頭叩いた時の音じゃないわよね?
そんな衝撃的な止め方だったにもかかわらず、ゾルアとゼロスは、無傷ながらもばつが悪そうな表情を浮かべていた。

「……すまん、熱くなりすぎた」
「……ッチ、悪かったよ」

――――魔族軍懲罰部隊隊長、ジェイド・レーヴェン。
種族はインキュバスであり、彼も例に違わず相当なイケメンなのだが……うん、私たち女性にはまったく興味がなく、いつも男を追っかけている。私以上に、男に対しての執着が酷いかもしれないわね。
でも、本当にもったいないと思う。
綺麗な金髪に、紫の瞳。優男といった表現がピッタリの色男で、実際男好きじゃなかったら、今ごろ女性にモテモテだっただろう。
まあ、そうじゃなくても、私やリアと、よくガールズ? トークをする仲で、今では普通の女性と同じように接している。
ゾルアが後頭部をさすり、ゼロスがなんとも言えない表情を浮かべていると、ジェイドは二人に流し目を送った。

「いい子ねぇ。後でキスのご褒美あげちゃうっ」
「「いらんっ!」」

おお、ジェイドすごいわね。
犬猿の仲と言っていい、ゾルアとゼロスが、見事にハモって拒絶したわよ。
まあいろいろと問題が起こりそうになる魔族軍だが、なんだかんだでうまく
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